チアノーゼって何?
動画で学ぶ
1.「チアノーゼ」って何? (動画解説)
生まれつきの心臓の病気、先天性心疾患について知るために、ぜひ知っておきたい言葉、「チアノーゼ」について説明していきます。
音声が出ます
2.「チアノーゼ」って何? (テキスト解説)
「チアノーゼ」って何?
すごく寒い時や、冷たいプールに入ったときなど、特に、顔色やくちびるの色が紫色になることも「チアノーゼ」の一種で、ふつうはあたたかくなると顔色は戻ります。
しかし、先天性心疾患の中には、いつも顔色が悪いままの病気があります。
どうしていつもチアノーゼになるの?
どんな病気でそうなるの?
「心臓のきほん」で説明しましたが、⼼臓が左右に分かれている理由は、静脈血と動脈血が混ざらないようにするためです。混ざらないことで、効率よく全⾝の臓器に酸素を届けることができます。
ふつうは静脈血と動脈血は混ざらない
しかし例えば、心房と心室が1つずつの病気だと、心臓の中で静脈血と動脈血が混ざってしまい、酸素の少ない静脈血が体に流れてしまうため、いつも顔色が悪い「チアノーゼ」の状態になります。
心臓の中で静脈血と動脈血が混ざるため、体に流れる血液の酸素が少なくなり、「チアノーゼ」の状態になる
いつも体に流れる血液の酸素が少ない、チアノーゼの状態が続く病気をまとめて「チアノーゼ性心疾患」と呼びます。
先天性心疾患を大きく2つに分けると、チアノーゼのない「非チアノーゼ性心疾患」と、チアノーゼの状態が続く「チアノーゼ性心疾患」に分けられます。それぞれの割合はグラフ1のとおりで、非チアノーゼ性心疾患のほうが多いです。
グラフ1:先天性心疾患における非チアノーゼ性心疾患と、チアノーゼ性心疾患の割合
チアノーゼってどれぐらい苦しいの?
体に流れる動脈血の酸素飽和度の正常値は96~100%です。ふつうの人でも、2000〜3000mの高い山に登ると、空気中の酸素が少なくなるため、動脈⾎の酸素飽和度は下がり、高い山で酸素飽和度を測ると、80〜90%程度になります。
高い山の上での酸素飽和度は80〜90%
チアノーゼ性⼼疾患の⼦どもの酸素飽和度は、病気や状態によって差はありますが、いつも80〜90%であることが多く、泣いたりすると、60%台ぐらいまで下がることもあります。ふつうの⼈が⾼い⼭に登ったときよりも酸素飽和度が低く、いつも苦しい状態ですが、⼦どもは体が慣れてしまって、あまり症状がないこともあります。
チアノーゼ性⼼疾患の⼦どもの酸素飽和度はいつも80〜90%
泣いたりすると60%台になることも
チアノーゼをそのままにしておくと…
チアノーゼの状態をそのままにしておくと、どうなるのでしょうか︖
だんだん⽇常⽣活がつらくなってきて、階段が登れない、着替えるなど軽い動作だけで息切れがする、などの症状が出てきます。
階段を登る
つらい
着替える
苦しい
この他に、チアノーゼをそのままにしておくと、腎臓が悪くなる、脳梗塞になる、血痰が出る(肺出血)などの全身のいろいろな症状が出ます。また、長い間チアノーゼが続くと「ばち指」という指の形になることもあります。
腎臓が悪くなる
血痰が出る
脳梗塞になる
「ばち指」になる
このように、チアノーゼをそのままにしておくと、いろいろな症状が出るため、症状が出ないように、なるべく治したほうがよいです。「チアノーゼ性⼼疾患」の手術の目標の1つは、チアノーゼをなくすこと、です。
「チアノーゼ性⼼疾患」の手術の目標の1つ
チアノーゼをなくすこと
最終更新日:2022.6.30