しんぼうちゅうかくけっそんしょう
ASD (Atrial Septal Defect)
心房中隔欠損症
1.心臓のきほん
2.心房中隔欠損症について
心房中隔欠損症は、右心房と左心房の間の壁(中隔)に穴があいている(欠損)病気です。心房中隔欠損症は、先天性心疾患の中では多い病気の一つです。心房中隔欠損症がどんな病気なのか、まず動画をごらんください。(2分35秒)
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動画の中でも説明しているとおり、同じ「心房中隔欠損症」でも、穴の大きさによって症状が出る時期が違います。
穴が小さいと、気づかれないまま大人になることが多いです。大人になってから、疲れやすい、動くと息切れや動悸がするなどの症状が出ることがあります。
穴が大きければ、子どもの頃から疲れやすいなどの症状が出ることがありますが、症状は目立たないことが多いです。
3.治療のタイミングは?
穴が小さい場合(5mm未満が目安)は自然に閉じることもあり、しばらく様子をみることがあります。
ただし、10歳以上で自然に閉じることは少ないと言われています。
穴が大きい場合、穴を通る血液の量が多く、心臓に負担がかかっている場合は、将来心臓の動きが悪くなったり、肺の血管が悪くなったり(肺高血圧)、「心房細動」という不整脈が増えるため、症状がなくても、見つかったら早めに治療したほうがよいです。
また、血液の中の小さな気泡や血栓(血のかたまり)が心臓の穴を通って、脳梗塞を起こすこともあります。このような時も、治療をおすすめします。
4.治療の方法は?
主に「カテーテル治療」と「手術」の2つの治療法があります。
1:カテーテル治療
カテーテル治療の詳しい説明については 「カテーテル検査と治療」をごらんください。
1
⾜の静脈からカテーテルを入れて閉鎖栓を左心房まで入れて、傘を開く。
3
2枚⽬の傘を右心房で開いて心房の間の壁(心房中隔)をはさむ。
2
2枚がさねの傘の1枚目をひっかけてひいてくる。
4
位置を確認して、傘の柄をはずして留置する。
穴の大きさ、形によってはカテーテルでは治療が難しいこともあります。また、カテーテル治療ができる医療施設が決まっています。下記のリンクから近くの病院を探してみてください。
ASD閉鎖栓施行認定施設(日本先天性心疾患学会ホームページより)
2:手術
カテーテルでは治療が難しい場合(穴の大きさや場所が難しいなど)、心房中隔欠損症以外の一緒に手術で治療をしたほうがよい病気がある場合(部分肺静脈還流異常症、弁膜症、不整脈など)は、手術をおすすめします。
※心臓の手術の流れについては 「心臓手術の流れ」をごらんください。
直接閉鎖
穴をそのまま縫い閉じる。
パッチ閉鎖
あて布(パッチ)をあてる。
5.治療の後は?
子どもの頃に手術をした場合、ほとんどの人がほぼ普通の人と同じように生活できて、運動などの制限もなく、薬を飲み続けることもほぼありません(あくまで病状によって異なります)。
時々、大人になってから小さい時の手術の影響で不整脈が出ることがあるため、動悸などの症状があれば病院に相談してください。
大人になるまで病気に気づかれず、大人になってから治療を行うことも少なくありませんが、長年穴があいたままだったことで長期間心臓に負担がかかっているため、心臓の動きが悪くなったり、肺の血管が悪くなったり(肺高血圧)していることが多いです。
また、「心房細動」という不整脈や、心臓の弁が悪くなっていることもあります。治療をする前の状態によって、治療の後にどれぐらいよくなるかは差がありますが、ほとんどは治療によってそれ以上悪くなることを防ぎ、治療をする前よりも元気になります。人によって病状はそれぞれ異なるため、主治医の先生の話をよく聞いてください。
また、ずっと元気でいられるように、通院や内服の継続が必要な場合は、必ずきちんと病院にかかるようにしましょう。(→詳しくは「なぜ定期受診が必要?」をごらんください)。
あなたにとって最もよい治療法を、
主治医の先生とよく相談して決めましょう。
最終更新日: 2022.6.7